コントロールケーブルの専門メーカーとしてグローバルに製品を開発・供給している日本フレックス工業式会社技術部 次長 石井耕治様にインタビューさせていただきました。
全社的に取り組まれているDX推進のための施策の一つとして、AI導入による検査自動化の必要性を感じ、数ある企業の中からAI検査MENOUをご導入いただくまでの経緯などについてお話を伺いました。
導入のきっかけ
はじめに、貴社について教えてください
日本フレックス工業株式会社は、手元の操作を離れた場所に伝えるコントロールケーブルの専門メーカーです。身近なところでは自動車のシフトレバーやパーキングブレーキなどに使われています。高機能・高品質にこだわったコントロールケーブルは、自動車、農機、自転車をはじめ、事務機器や福祉用品など、様々な分野で利用されています。

MENOUはどのように知っていただきましたか
当社では以前からAIによる自動化が全社をあげたDX推進における大きな柱となると考えていました。そのような中で当社代表が参加したセミナーでAI事例の紹介があり、AIによる現状の課題解決への期待度もより高くなり、具体的に導入を検討するようになりました。
セミナーで講演していた企業をはじめ何社かパートナー候補を探す中である展示会の出展ブースに立ち寄ったのがMENOUを知るきっかけとなりました。

AIを選ぶポイント
AI検査 MENOUを採用いただいた理由を教えてください
過去に他社の画像検査の自動化サービスを検討したこともありましたが、コスト面や導入するための課題などを考慮した結果、導入まで進めることができなかったという経緯もあり、マイクロスコープを使用した画像検査を人による目視検査で行っていました。
今回MENOUを採用するにあたって、既存の選別装置と連携できること、そしてノーコードでAI設計が可能であるため社内メンバーで運用できるところがポイントとなりました。
また導入を検討している段階で無償検証をしてもらい、実現性の確認が早期にできたことも大きな決め手でした。
従来のマイクロスコープを使用して行っていた検査と、AI導入することによる違いなども具体的にわからなかったので、無償検証をしてもらうことで疑問点も事前にクリアにできて良かったです。

AI画像検査の導入プロセス
導入はどのようなステップで進められましたか?
コロナ渦で依頼したこともあり、なかなか直接お会いすることが難しい状況ではありましたが、柔軟に対応いただいたのでとても助かりました。
初回MTGをオンラインで行い、無償検証のためのサンプル画像をいくつか送り、AIによる画像解析をしてもらいました。
検証結果は再度オンラインで報告いただき、実際に当社製品のAI解析が可能ということの確認ができたので、導入サービスを利用させてもらうことに決めました。
導入サポートでは、当社の環境・製品に適したカメラの選定、そして現場に実際に来てセットアップをしてもらい、設置後はリモートでMENOU-TEのツールの使い方などを教えていただきながら、社内でAI学習を進めることができました。
現在はAI設計・学習は私が一人で担当をしています。AI設計はもっと難しいのかなと思っていたのですが、実際やってみるとそうでもなく、ほとんどマウス操作だけでAIのモデル設計ができ、社内内製に向けたハードルは次第に下がっていきました。
丁寧にフォローしていただいたおかげで、問題なく現場レベルで十分に使用できていると感じ、実用化に向けて本導入させていただくことになりました。
AI画像検査の導入効果
本番移行後の状況について教えてください。
本番のワークを使った検査AIの開発・テストはいったん完了しており、現在は搬送系のメカ部分を含めた完全な検査自動化に向けた開発を進めているところです。
AIの開発を進める中で、“人による目視検査”と “AIによる外観検査”の基準を合わせていくことが大切だと感じました。検査員が判定したOK・NGをAIに学習させていく上で、検査員が変わる度に生じる基準の細かなバラツキもあったりするのですが、このような変更にも適宜対応できるところが、社内内製化の強みだと思っています。
AIの導入によって検査仕様が整理・統一でき、定量的に判断させることが可能になりました。今後は運用していく中で、AIを基準に品質を決めていくことが必要になるのではないかと考えています。
AI外観検査導入後、社内に変化はありましたか?
正直のところ、導入前は「AIで本当にできるの?」という声もありました。
代表の「まずはやってみよう」という後押しもあったこともあり、いざ実際に導入まで進めてみると周りの反応も徐々に変化していきました。
いまでは「〇〇もAIで解決したい」とポジティブな反応があることに嬉しく感じています。 社内でAI設計・学習を進めていき、不明点などを問い合わせする中でAIへの理解も深まり、社内の要望に対して、どのようなものがAIで解決できるのかできないのかの判断もできるようになりました。
今後の展望について教えてください。
機械設計が完了し、並行して引き続きAI学習も進めており、夏頃には本格的に導入できるスケジュールで進めています。
現在は1ラインでAIと目視検査を並行して運用しており、AIの精度を更に向上させているところです。いずれはAIだけで検査する体制を目指しています。
今回のAI導入について、社内の理解も高く、本格運用前ではありますが、既に検査部門の現場のメンバーから非常に期待してもらっています。
今後は社内であがってきている課題に対して、検査AI MENOUを活用してより使用範囲を増やし、DX化を進めていければと検討しております。
いつも細かなサポートをしていただき良いパートナーに恵まれたと感謝しております。
日本フレックス工業株式会社
所在地 兵庫県伊丹市東有岡3丁目57番地
設立 1962年3月23日
ホームページ https://www.nichifule.co.jp/